貿易実務の概要については『貿易実務のお仕事って?』で紹介させていただきました。
今回は商品を輸出するにあたって、具体的にどんな仕事をしていくのかを紹介していきたいと思います。
輸入編はこちら⇒『貿易実務のお仕事 ~輸入編~』
輸出の流れ
輸出はこのような流れで進んでいきます。
受注
↓
貨物準備
↓
発送方法決定・乙仲業者手配
↓
船積書類の準備・提出 / 貨物引き渡し
↓
取引先へ船積みの連絡
↓
代金請求
↓
入金確認
今回は後払いのパターンで説明させてください。
また、取引先とのやり取りはメールで行うものとします。
受注
海外の得意先から注文が入ることが輸出業務の起点になります。営業アシスタントを兼務されている場合、受注窓口となることもあるかと思います。その場合、注文メールが来たらまずはお礼メールを送りましょう。
■すぐに納期・出荷日がわかる場合
お礼 + 出荷予定日・方法 を伝える
■在庫がなく、こちら側でも仕入れが必要な場合
お礼 + 納期は追って連絡する旨 を伝える
このメールの最大の目的は「注文を受け取ったよ!」とアピールすることです。
発注した側からすると、ちゃんと注文が通っているかが気になります。
納期は追って連絡すると伝えてから、10分後に連絡できてしまうかもしれません。
しかし、反対に確認作業に1週間ぐらいかかることもあります。
顧客に変な不安を与えることがないように、注文を確認したらすぐに返信をしましょう。
貨物の準備
■在庫がある場合適切に梱包をし、いつでも発送できるようにしておきましょう。
■在庫がない場合
顧客の希望納期に間に合うように、商品を準備しましょう。
どうしても間に合いそうにない場合は顧客に最短出荷可能日を伝えて、相談しましょう。
話がこじれそうな場合は、すぐに担当の営業さんに交渉を代わってもらってください。
こちらからの発送が遅れることで、顧客の客先まで影響が出る可能性があります。
たった1度の遅れであろうとも、多大な損害が発生すれば2度と発注してくれなくなることも十分あります。
自分が責任をとれる立場であれば構いませんが、そうでなければ適切な担当者に任せましょう。
発送方法の決定と乙仲業者手配
発送方法は3つあります。-船便(SEA)
-航空便(AIR)
-国際宅配便(クーリエ)やEMS
顧客「との契約時に、基本的な発送方法は決めていると思います。
しかし、SEAで基本契約していても、在庫状況次第では、顧客の希望納期に間に合わない場合があります。
その場合はAIRやクーリエでの発送をを検討して、提案する必要があります。
ただし、AIRやクーリエはSEAに比べて費用が高くつきます。
どちらがその費用を負担するのかも含めて交渉をしてください。
船便や航空便を利用する場合は乙仲業者に出港スケジュールを確認しましょう。
納期に合わせて、都合のいい便を見つけて、ブッキング依頼をしてください。
クーリエの場合は、出荷日までに集荷依頼をしておきましょう。
船積書類の準備・提出 と出荷
利用するSEAやAIRの便が決まったら、2つの期限に注意しなければいけません。貨物のカット日
貨物のカット日までに貨物を業者指定倉庫に搬入する必要があります。書類のカット日
書類のカット日までに書類の準備を行い、乙仲業者に提出しましょう。必須書類
・インボイス(invoice、INV、I/V)・パッキングリスト(packing list、 P/L)
・船積み指示書(shipping instruction、S/I)
輸出貨物に応じて必要な書類
・安全データシート(SDS)・該非判定書(非該当証明書)
・取扱説明書、図面、写真など商品を説明できるもの など
特殊なものを輸出する場合は、あらかじめ通関業者さんに商品の説明をしておき、必要な書類があるかを確認しておきましょう。
取引先へ船積みの連絡
無事に通関が終わり、輸出ができたら、顧客に船積みの連絡を行います。いわゆるShipping Advice(S/A)です。
発送した旨と便名、出港予定日(ETD)をメール本文に書いて、必要書類を添付するだけで大丈夫です。
ETDも便名もインボイスを見ればわかるので、グループ会社などで仲のいい相手でしたら、「発送したよ。添付書類見てね!」ぐらいの内容で十分だったりします。
必要書類
・インボイス(invoice、INV、I/V)・パッキングリスト(packing list、P/L)
・船荷証券(Bill of Lading、B/L)もしくはAWB
顧客の希望に応じて必要な書類
・原産地証明書(certificate of origin、C/O)・安全データシート(SDS)
・取扱説明書、図面、写真など商品を説明できるもの
・その他、顧客が必要とする情報
原本の発送が必要な書類
・Original B/L・原産地証明書(certificate of origin、C/O)
これらを使用する場合は入手後すぐに発送してください。
顧客が輸入時に使用しますので、貨物の着荷より前に到着させる必要があります。
代金請求
インボイスには請求書の役割があります。顧客の経理システム上、インボイスのコピーさえあれば問題ないというのであれば、船積み連絡時に送付したインボイスで十分です。別途、なにかする必要はありません。
顧客の都合に合わせて、インボイスの原本を送付したり、Debit noteを発行しましょう。
入金確認
取り決めた支払い日までに入金がされていれば特にすることはありません。ただ、万一入金がされなかった場合は、催促をする必要があります。
この場合も状況に応じて、営業担当者に連絡を代わってもらいましょう。
あまりにも頻繁に支払い遅延をおこす取引先であれば、前払い契約に変える対応をする必要があります。
無事に入金の確認が取れれば、1つの船積み案件が完了です。
お疲れさまでした!
まとめ
■スムーズに船積みをおこない、顧客の希望納期に届けること■顧客から代金を受け取ること
輸出業務をするにあたって、この2点がポイントになります。
確実におさえましょう。
営業から船積み手配まで担当される方もいれば、船積み手配のみを担当される方もいらっしゃると思います。
与えられている裁量は人それぞれですが、次の受注を損なうことのないよう1件1件の船積みを大切にしていきましょう。