貿易実務でInvoice(インボイス)と呼ばれるものは、5種類存在します。
といっても、私が実際に使用したことがあるのは、そのうちの2つだけです。
5種類のインボイスを紹介しますが、ご自身の業務で必要のないものは、頭の片隅に置いておく程度と考えておいてください。
Invoiceとは?
Invoice(インボイス)は英語です。日本語では一般的に「送り状」や「請求書」と訳されます。
しかし、貿易実務で使用するInvoiceは「○○ Invoice」というようにInvoiceの前に言葉が付きます。
- Proforma Invoice
- Commercial Invoice
- Shipping Invoice
- Customs Invoice
- Consular Invoice
それぞれ異なる役割をもっていますので、1つずつ解説していきます。
Proforma Invoiceとは?
Proforma Invoice(プロフォーマ インボイス)は実務でもよく登場するインボイスです。P/Iと略して表現することもあります。
見積書と同等の役割をもっていますが、個人的には納得していない表現です。
実際に見積書であれば”Quotation”として発行します。
仕入れ先に見積もりを依頼しても、やはり“Quote”か”Quotation”というタイトルの書面が発行されます。
実際に使う状況は、支払いがL/Cや前払いの時です。
経理部門に送金指示をする際、何かしら金額の証明ができる書類が必要ですよね。
このように出荷より前に正式な金額が記載された書類が必要なときに、Proforma invoiceが登場します。
感覚としては「仮請求書」と呼ぶ方がしっくりきます。
海外での使用感はどうなのかと思い、U.S. Customs and Border Protectionのサイトを見てみたところ、「輸入時までに金銭的取引のない輸入で、Commercial invoiceが入手できない場合に、その代用として提出しなければいけない」とか書かれていました。
やはり、Commercial invoiceが作成される前に必要になった場合に代替として使うという考え方で大丈夫かと思います。
ただし、仮とはいえ、このProforma invoiceに基づいて、送金がされたり、L/Cが開設されたりしますので、金額や記載内容は絶対に間違えてはいけません。
Proforma Invoiceの作成方法
一番簡単なことは、さっさとCommercial Invoiceを作成して、タイトルを”Proforma Invoice”に変えることです。仮書類も正式書類も内容は同じのはずですから、これで問題はないはずです。
もし、先方にProforma Invoiceを提出して、表記の修正を求められたら、それに従って後続書類であるCommercial Invoiceも表記を合わせてくださいね。
Commercial Invoiceとは?
一般的にインボイスと言われたら、このCommercial Invoice(コマーシャル インボイス)を指します。過去記事でもご紹介していますが、万能な役割を持ちます。
- 送り状
- 納品書
- 請求書(輸出者側から見た場合)
- 仕入書(輸入者側から見た場合)
- 通関での申告書類
基本的にこのインボイスさえ作ることができれば、支障はないはずです。
作成の仕方はこちら
⇒インボイスの役割と作成方法
Shipping Invoiceとは?
Shipping Invoice(シッピング インボイス)とは船積み送り状と言われるものです。出荷案内や積荷費用の請求をする際に、使用されることがあるそうですが、私は作ったことも見たこともありません。こちらから出荷案内をする際はCommercial Invoiceで済ませてしまします。
海外から出荷案内として届く書類もCommercial InvoiceかDelivery noteというタイトルのものばかりです。
積荷費用とは”Palletize fee”や”Local charge”が該当するのだと思いますが、これもCommercial Invoiceに記載してしまうパターンが多いかと思います。
輸入者側からこの書類を請求されることはないと思います。
もし、この書類が送られてきた場合は「納品書が届いたんだなぁ」という解釈で大丈夫です。
Customs Invoiceとは?
Customs Invoice(カスタムズ インボイス)とは一部の国で必要な輸入通関時用のインボイスです。多くの国はCommercial Invoiceで大丈夫なので、私はまだ見たことはありません。
このインボイスは輸入国独自のフォーマットで指定されるその国専用の通関用書類です。
カナダを例に挙げると、税関にあたるCBSAのロゴが入った専用のフォーマットCCI(Canada Custom Invoice)がこれにあたります。
輸出者側でもカナダの輸入者側でも作成できるようなので、協力を求められたときは協力してあげてくださいね。
他の国も独自の規定があるかと思いますので、それぞれ状況に応じて作成もしくはサポートしてください。
Consular Invoiceとは?
Consular Invoice(コンシュラー インボイス)は領事送り状と呼ばれる書類です。こちらもまた、私は作ったことも見たこともありません。
輸入国の税関ではなく、領事に提出する書類です。
ラテンアメリカの国で要求されることがあるようです。
とはいっても、内容はCommercial Invoiceに記載する情報とほとんど変わらないようですので、輸入国の指示やフォーマットに従って作成すれば大丈夫のようです。
まとめ
多くの場合、Proforma InvoiceとCommercial Invoiceさえ作れれば問題ありません。ただ、国によっては規定のフォーマットが別に存在することがあります。
普段やり取りのない国と取引を始める際には、輸出入時にどんな書類が必要になるのかを前もって確認しておきましょう。