昔はMSDSと呼ばれていました。
この書類は対象物の通関時に必要になります。
SDSとはなにか?から、その中でも通関時にどの情報が見られるのかをご紹介します。
SDSとは?
SDS(Safety Data Sheet)は日本語で安全データシートと呼ばれます。化管法SDS制度で登場する、「化学物質またはそれを含有する製品」を他社に引き渡す際に必要な書類です。
メーカーから商社に引き渡すときに必要ですし、商社からさらに他社に引き渡す際にも必要になります。
化学物質と言うことであれば、液状、ペースト状、タブレット状などの形状を問いません。
具体的にはインク、接着剤、樹脂・顔料などです。
SDSとMSDSの違い
日本国内では平成23年まではMSDS(Material Safety Data Sheet)と呼ばれていました。しかし、国際基準に合わせるために「SDS」という名称に統一されました。
もし、書類のタイトルが ”Material Safety Data Sheet”となっているのであれば、それはかなり前に発行された書類だと思います。
5年以上もメーカーが更新してないはずはありませんので、必ず ”Safety Data Sheet”もしくは「安全データシート」と書かれた最新版を入手するようにしてください。
貿易実務で必要な情報
SDSに記載が規定されている項目は15項目あります。化学品メーカーさんであれば、すべて必要な情報です。
しかし、貿易実務担当者が最低限確認しておきたいのは、この中の2つです。
組成、成分情報
1つ目は3項「組成、成分情報」です。含有する指定化学物質の名称、指定化学物質の種別、含有率が記載されています。
この項目で確認したいのは「主成分はなにか?」という点です。
化学物質のHSコードはとっても細かく定められているのです。
そのHSコードを調べる際、とても役に立つのがこの項目です。
含有物質とその含有率が記載されているため、この書類があればすぐにわかります。
しかし、海外メーカーのSDSではこの成分が詳しく書かれていない場合があります。
その場合は別途「成分表」を入手する必要がありますので、ちゃんと記載されているかを確認するようにしてください。
ただ、成分の割合というのは、各メーカーの企業秘密の場合もあり、はっきりとした割合は明記されないことが多いのです。
これはこれで仕方がありませんので、その場合は「主成分がなにか?」という点だけでも答えをもらうようにしてください。
輸送上の注意
もうひとつは14項「輸送上の注意」です。この欄に国連番号や国連分類について記載されています。古い書類(MSDS時代のもの)だと、これらについて明記されていないことがあります。必ず記載のあるものを入手するようにしてください。
さて、入手してからが本番です。
この国連番号や国連分類に「該当しない」と書かれていますか?
該当していなければ大丈夫です。通常貨物になります。
しかし、クラスや番号が書かれている場合、それは危険物に該当します。
このクラスや番号によって危険物の度合いが変わります。
危険物であっても規定に合致する容器で梱包をすれば輸出できる場合もあります。
輸出は無理だと判断する前に、まずは乙仲に問い合わせてみてくださいね。
ちなみにクーリエの場合は危険物という時点で引き受けてもらえませんので注意してください。
⇒クーリエのメリット・デメリット
まとめ
一番大切なことは化学品を仕入れる前にSDSを入手して、その内容を確認することです。仕入れた後にSDSを入手して、それが危険物で輸出できないものだったと判明したらどうなりますか?
輸出もできず、仕入れたものが無駄になってしまいますよ?
輸入の場合であっても、先方に出荷してもらって商品自体は港に到着しているのにSDSの確認が取れないがために、通関が遅れてしまうということもあります。
化学品の仕入れ、もしくは出荷指示する前にSDSを入手してくださいね。
SDSを真っ先に入手しましょう!