インコタームズ (Incoterms) とは?いろいろな貿易条件



運賃やらリスクの所在やらといっためんどくさーい取引条件をアルファベットたった3文字であらわすことのできる国際ルール、インコタームズ。実はなんとなくでしか理解していない・・・。という方が多いかと思います。今回はそういった方が、疑問を持ちやすいことについて、一問一答形式で解説します!

Q. インコタームズ(Incoterms)って何?

A. 国際商業会議所(ICC)が制定した貿易取引条件とその解釈に関する国際規則(International Commercial Termsの略)です!

私は読み違いをしていて、しばらくの間インターコムズだと思っていました・・・。
カタカナだけを見ていると間違えますので(私だけ?)、英語でも覚えておいたほうが間違えずにすむかもしれません。

Q. なんでインコタームズが必要なの?

A. 貿易上のトラブルを減らすためです!

インコタームズが制定されたのは1936年のことです。
それまでは取引条件の解釈が国ごとに違っていました。これは、国によって商習慣や文化が異なるので当たり前のことでした。
しかし、この解釈の違いによってトラブルが発生していたのも事実です。
ということで、こういったトラブルをなくすために、国際的な取引条件を制定しようという流れから生まれたのがインコタームズです。

Q. インコタームズって絶対使わなきゃだめ?

A. いいえ。使わなくても罰則などはありません!

インコタームズは法律でも条約でもありません。
なので、取引先との合意で「インコタームズは使わず、契約書に細かく盛り込む」というのであれば、それはそれで問題ありません。
一方で、インコタームズに則る場合でも契約書にその旨記載する必要があります。
契約書の記載なくトラブルが発生しても、罰則があるわけではありませんので、当事者間で解決するしかありません。注意してくださいね。

Q. インコタームズ2010じゃなくてインコタームズ2000を使いつづけてもいい?


A. 契約書に明記すればインコタームズ2000を使っても大丈夫!

インコタームズ2010も契約書に記載しなければ効力がありません。
反対に言えば、「インコタームズ2000に則る」と明記すれば、それは効力を帯びます。
古い契約のため、古いインコタームズが記載されているならそれはそれで問題ありません。
しかし、インコタームズが更新されるのは、現状の貿易状況を考慮した結果です。
新しく契約をする際や契約を更新する際は、できるだけ最新のインコタームズを使いましょう。

Q. インコタームズって種類多くておぼえられなくない?

A. まずは頭文字だけでも覚えましょう!

インコタームズ2010規則では11の規則があります。
そのうち自分が普段実務で使う条件は限られてくると思いますので、すべて覚えておく必要はあまりありません。
ただし、この11の規則は頭文字を取った4グループに分けられているので、このグループを覚えておくと、便利です。

Eグループ(EXF)
輸出者の施設で貨物が引き渡されたら、その後はすべて輸入者の責任。

Fグループ(FCA、FSA、FOB
輸入者が指定した運送会社に引き渡すまでが輸出者の責任。その後は輸入者の責任。

Cグループ(CPT、CIP、CFR、CIF)
運賃などの費用が輸出者負担。ただし、運送会社に引き渡した時点で、リスクは輸入者責任。

Dグループ(DAT、DAP、DDP)
輸入国で輸入者の指定先に引き渡すまでが輸出者の責任。

輸出者の負担はE < F < C < Dで大きくなるということさえ知っていれば、なじみのない条件を聞いてもすぐにイメージすることができると思います。

まとめ

インコタームズは商習慣の異なる国・地域と貿易をする上で便利な国際上の規則です。
ただし、法律でも条約でもありませんので、契約書に記載しなければ何の効力もありません。
トラブルが発生しても泣き寝入りしなくてすむように、このルールをうまく活用してスムーズな貿易取引をしてくださいね。