みなさんは普段、FOB条件を使っていますか?
使ってるよー!という方は、本来の意味で使っていますか?
それとも、商慣習上、FOB条件という表現を使っているだけですか?
私は「商習慣上、FOBを使っている派」です。
本当はコンテナ輸送や複合輸送ばかりなのでFCAと表現したほうがいいのでしょうが、以前からの流れのままFOBなどを使用しています。
みなさんはどちらでしょうか?
FOBとFCAって?
FCA条件などはインコタームズ2000において、規定された運送条件です。一方で、FOB条件などはそれ以前から何十年にもわたって使用されてきた運送条件です。
そのため、長年貿易業務にたずさわってきた人のほうがFCAという言葉にピンとこないようです。
新参者のFCA条件などが実際に商取引になじむのはまだ時間がかかるかもしれません。
FOB条件を使うと何が問題なの?
FOB条件では売主が貨物を船に載せるところまで費用を負担します。その後の費用やリスクは売主の負担になります。じゃあ、コンテナヤードで事故ったらどうするの?
ここが問題なんです。輸出通関が終わるまでは売主側が責任を持つのは当然です。
しかし、通関が終わるとほぼ手が離れた状態になっています。
なのに、コストやリスク負担は貨物が船に積み込まれるまで負わなければいけないという状況です。
なんか現状と契約条件があっていませんよね?
そもそもFOB条件とは在来船を想定して作られた条件です。
いわゆるバラ積み貨物の海上輸送に対するものですね。
コンテナ船やAIR、その他の複合運送を想定していないので、このような不合理な事態が発生してしまったのです。
そんな現状に対応させるために生まれたのがFCA条件です。
FCA条件とは、契約書に記載された場所で運送人に引渡すところまでを、売主の責任とするものです。
契約書に明記されていなければ、フォワーダーへ引き渡した時点になります。
今後の動向
ジェトロでは、コンテナ輸送や複合輸送の取引条件としては「FOBではなく、FCAを」「CFRではなく、CPTを」「CIFではなく、CIPを」と推奨しています。万一の事故の場合に、不要なトラブルを避けるためには、このほうが適しているのは間違いありません。
商習慣上で使用しているということは、会社の都合でもあります。
もし、これから輸出入に参入される方であれば、初めからFCA条件などを使用していくことをお勧めします。
ただ、この「商習慣上、FOB条件などを使用してしまっている」という現状は海外でも同じです。
そのため、先方が現状FOBで運用しているという可能性は十分ありえます。
その場合、表現上はFOBでもいいかもしれませんが、リスクの移転時期については、契約書の中で別途定めておくことをおすすめします。
できるだけ、最新のインコタームズを採用しましょう。