TPPや日EU経済連携協定の話になると注目されるのが、「どのアイテムに対する関税が撤廃されるか」ということです。
関税とは「輸入品に課される税金」のことです。
とはいえ、すべての輸入品に関税がかけられているわけではありません。
「輸入しただけで税金をとるなんて、政府はそんなにお金に困っているの?」
いえいえ。関税にはもっと大事な役割があります。
関税が国内市場に与える影響
「1パック498円の外国産牛肉」と「1パック980円の国産牛肉」スーパーだとこんな感じで販売されています。
みなさんはどちらを買いますか?
国産のほうがやわらかいし、安全安心!
外国産より多少高くても国産を買います!
という方もいると思います。
では、ある日値段がこのように変わってしまったらどうでしょうか?
「1パック198円の外国産牛肉」と「1パック980円の国産牛肉」
思わず、外国産牛肉に手をのばしてしまう人が増えるのではないでしょうか。
国産のほうが多少高くても買う人はいます。
しかし、差が大きくなってしまった場合、行動を変える人がでてきます。
消費者としては当然の行動ですよね。
それでは、安い外国産牛肉ばかりが売れて、国産牛肉が売れなくなってしまったらどうなるでしょうか?
このような負の連鎖がおきます。
それでは農家がつぶれてしまったらどうなるでしょうか?
長期的な観点から見れば、日本の畜産業が衰退することになります。
短期的な観点からみると、廃業した失業者に対して、国は失業保険を払うことになります。
これは国家の支出増加につながります。
たとえ廃業までいかなくても、畜産農家・卸業者・スーパーなどの売り上げが減ってしまうと、法人税などの税収は減ってしまいます。これは国家の収入減につながります。
どちらにしろ、国として歓迎することはできませんね。
発展途上国からすると、反対のケースになります。
「高いけど品質が良いから先進国から輸入されたものを買うよ」という場合です。
発展途上国は自国の産業を発展させるために、高い関税をかけておくことで「先進国からの輸入品は高額品」と設定することができます。
しかし、関税が撤廃され、先進国品が「ちょっとだけ高いけど品質がいいもの」となった場合、どうなるでしょうか?
高所得者だけでなく、中間所得者まで輸入品を購入するようになると、「安くて品質がほどほど」の国内品が売れなくなってしまうのです。
このように先進国も発展途上国もそれぞれの観点から、自国の守りたい産業品に関税を適用させているのです。
まとめ
国が適切に関税率を設定することで、国内価格と比較して安い外国製品の大量流入を防ぐことができます。消費者の視点で考えると、もちろん安く購入できたほうがいいに決まっています。
ただ、大きな視点で考えると日本の産業を守るために、関税が必要という理由も理解できます。
どの国も自国の産業を守りながらも、貿易黒字にさせることによって経済を発展させようといるのです。
メガFTAではそれぞれの国の思惑がからみあい、なかなか合意に至ることができないのです。
だからこそ、TPPや日EU経済連携協定が少しでも進むと「おっ!?」と話題になるのです。
今後の動きに注目です。
※TPPは2018年12月30日輸入申告分から適用されます。
→TPPとTPP11とCPTPP 違いは?
※日EU経済連携協定は2019年2月1日輸入申告分から適用されます。
日EU経済連携協定とは?