FTAとEPAとは?違いは??



やたらと同時に耳にするFTAとEPA。

さっきまでFTAって言ってたのに、今度はEPAの話?
・・・あれ?またFTAって言ってる。どっちのことを話してるんだろ??

なんてことにならないように、FTAとEPAのことを知っておきましょう。

FTAとEPA

FTAFree Trade Agreement)は自由貿易協定のことです。
物品およびサービス貿易の自由化を求め、関税の撤廃・削減を定めるものです。
Tradeなので、あくまでも貿易に特化した協定です。

一方、EPAEconomic Partnership Agreement)は経済連携協定のことです。
この協定の範囲は貿易にとどまりません。

たとえば人の移動や知的財産の保護、投資ルールの整備なども含みます。
Economicということで、経済にかかわってくるものが広く対象になっているのです。



FTAはEPAの範囲の中に入ってしまうんですね。

具体的な内容が違うとはいえ、協定の方向性は同じです。

正直なところ、専門家による会議でないかぎり、あまり使いわけずに使ってしまうことが多いです。
話し手が「FTA」と言おうと、「EPA」と言おうと、「ああ、貿易とかの協定のことね」と考えておけば問題ないと思います。

FTAとEPAのメリットは?

私たちにとってのFTAやEPAの最大のメリットは協定関税を利用することで、通常の関税(MNF関税)よりも低い関税率で輸入することができるということです。
品目によっては関税フリーのこともあります。

関税の仕組み

基本的に輸入品には関税が加算されます。
そのため、輸入品が国内で流通するときには、関税分が上乗せされた金額になってしまいます。

一方で、関税がゼロであれば、仕入れ価格そのままをベースにした金額で国内に流通させることができます。

これは国内で商品を調達する場合と同じ条件です。
 
言葉では難しいのですが、絵であらわすとこんな感じです。



関税のかからない輸入品は国内調達品と同じ価格になりましたね。

商社や販売店にとっては、国産品と競争できる価格になるので、販売が伸びるというメリットがあります。
消費者も安く購入できることができるようになるので、うれしいことですよね。

FTAとEPAが世界中に広まった理由は?

そもそも、世界の貿易ルールを決めるためにWTO(世界貿易機関)という国際機関があります。
しかし、WTOで条約を締結させるためには161の国と地域の「全会一致」が必要です。

当然のことながら、経済状況が違う先進国と途上国の意見は対立し、2001年から開始した交渉は停滞してしまいました。

「全会一致ができない」「世界で統一されたルールを作ることがむずかしい」
これらを背景に、自国と相手国の二か国間で協定を締結したほうが早いのでは?という流れにつながりました。

日本でも、2002年にシンガポールとはじめてEPAを締結しました。
2018年現在では16の国・地域とEPAを発行もしくは署名済みです。

世界全体では271もの協定が存在しているという状況になっています。

二国間協定からメガFTAへ

しかし、このまま二国間の交渉を続けるのは、さすがに非効率です。そこで、地域でまとまって交渉する動きが4つでてきました。

①太平洋を囲む12か国が参加する「TPP」 →TPPとTPP11とCPTPP 違いは?
②日本とヨーロッパをつなぐ「日EU EPA」 →日EU経済連携協定とは?
③アメリカとEUと間の「TTIP
④東アジアの団結を目指す「RCEP


さらには、①と④を包含し、アジア太平洋全域にまたがる「FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)」という壮大な構想もあります。


まずは日本が関連する①TPPと②日EU EPAを知っていれば大丈夫だと思います。
ただ、世界中でいろいろな構想が広がっているということだけ知っていてくださいね。