「貿易実務って、英語がペラペラじゃないとダメ?」
と質問されることがあります。
私は
「英語を話せなくても大丈夫。ネットで和英辞書や翻訳サイト使いながら、英文を作れればOK。」
と答えます。
というのも実際に海外のお客さんとやり取りするのは営業さんの仕事だからです。
具体的な貿易実務の仕事内容を紹介しながら、説明してみたいと思います。
話すのは日本語、書くのは英語
以前の記事で、貿易実務のメインの仕事は通関に必要な書類を準備することとお話ししました。→ 貿易実務ってどんな仕事?
書類を準備するにあたってやり取りをする相手は、同じ会社の営業さんや日本の通関業者さんです。
だから基本的に日本語を使います。
しかし、海外にかかわる仕事ですから、英語をまったく使わないわけではありません。
英語を使うのは、書類を作ったり、メールを書いたりするときです。
それでは具体的に状況を説明していきます。
英語を使う状況① 船積書類の作成
インボイスなどの貿易で使う書類は海外の税関でもわかるように英語で作成します。ただし、書類といっても、ほとんどの場合はテンプレートがあります。
基本的にはそのテンプレートに作成日や出荷日、輸出入者の社名、出荷するアイテムを記載していくだけです。
たとえば、「はさみ」を輸出したいとします。
もし、「はさみ」を英語で何というかわからなかったら?
和英辞書使えば、はさみは英語で「Scissors」だと簡単に調べられます。
それを書類に書けばいいのです。
難しくはないですよね?
書類作成が英語だからといって、心配する必要はありません。
英語を使う状況② 顧客とのやり取り
顧客とのやり取りは、基本的に営業さんのお仕事です。貿易実務は基本的に事務ですので、お客さんと交渉したりすることはありません。
ただし、営業さんによっては
「お客さんに出荷日の連絡しておいてくれる?」
というような依頼をされる可能性はあります。
その場合は、定型文で対応可能です。
営業さんに作ってもらったり、ネットで調べたりして、保存しておきましょう。
それをコピペして、日付の部分を変えていけばOKです。
もし、出荷日に関してもめるようであれば、営業さんに報告してバトンタッチしたほうがいいです。
事務が勝手にやり取りをして炎上させてしまったら、営業さんにとってもたまったものではありません。
もし、あなたに英語力があれば、営業さんがあなたに顧客とのやり取りを任せてくれることがあると思います。
その場合はトラブルがない限り、自分の裁量で進めてください。
そのほうが、営業さんも新規開拓などに集中することができるので喜ばれますよ。
ただし、異常があればすぐに報告しましょう。
貿易実務の求人に応募する方へ
上記のように、私は貿易実務をするにあたって高い英語力が必要だとは思っていません。しかし、求人に応募する場合は話が変わります。
この場合は、「英語スキルが高いに越したことはない」と答えます。
これは 英語を使う状況② 顧客とのやり取り の部分で差が出るからです。
英語力のある方を採用すれば、その分営業さんの実務に関する負担が減ります。
英語ができる方が事務であれば、営業さんはその人に、既存顧客に対しての出荷に関するやり取りを丸投げできます。
その代わりに、新製品の提案や新規顧客の発掘に時間を使うことができます。
その方が会社としてメリットは大きいですよね。
そのため、求人案件では「TOEIC600点以上」といった要件が設定されることがあるのです。
一方で、求人案件でそのような要件がなければ、英語力は気にしてなくて大丈夫です。
「海外にかかわる仕事がしたい!」という意気込みさえあれば、応募してみましょう。
英語が苦手なのに配属されてしまった人へ
私の先輩には英語が苦手という人もたくさんいます。部署異動で海外出荷担当になり、貿易実務に携わることになった方たちです。
それでも、みなさん書類作成や英文メールのやりとりなどはできています。
海外の顧客から電話がかかってくることもありますが、相手が英語を話していると分かった瞬間、「Hold on, please!」と伝えて、営業さんにつないでいます。
メールも時間はかかりますが、ネットでテンプレ探したり、営業さんに聞いたりしながら、作成してますよ。
こんな感じです。
貿易実務の仕事に配属されたからといって、英語力を気にしなくても大丈夫です。
ただし、英語アレルギーというレベルで嫌いな人は、部署異動の希望を出したほうがいいかもしれませんね。
まとめ
貿易実務の仕事をするにあたって、英語は話せなくても大丈夫です。私はこれまで後輩や派遣さんに貿易実務の仕事を教えてきました。
そのときに、彼女たちの英語力を意識したことは一度もありません。
最初におすすめの辞書サイトや翻訳サイトを教え、「作った文章や使う単語に不安があればいつでも呼んでください。」と伝えています。
これで困ったことはありません。
むしろ私は、英語よりも一般的な事務能力(ExcelやWordなど)が使える人が入ってくれたほうがうれしいです。
事務能力とまでいかなくても、
英語は得意じゃないけど、報連相ができるAさん
英語はペラペラだけど、報連相ができないBさん
なら、私はAさんがほしいです。
貿易実務に必要なのは英語力ではなく、最低限の事務能力です。
「今まで国内関係の事務仕事しかしたことがないけど、海外への仕事にもかかわりたい!」という人は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
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