保税蔵置場とインランド・デポ


先日参加したセミナーでインランド・デポの紹介がありました。

港や空港に近いエリアでビジネスをされる方には聞きなれない施設ですが、内陸地で貿易ビジネスをされる方にはメリットのある施設です。

インランド・デポは保税蔵置場の一種ですので、今回は保税蔵置場とインランド・デポについてまとめてみました。

保税蔵置場とは

外国貨物の積み卸し、運搬、蔵置などを行うことができる施設です。
※外国貨物とは、輸出の許可を受けた貨物や外国から日本に到着した貨物で輸入が許可される前のもののことです。
⇒外国貨物とは?

貨物を搬入して3カ月を超えて保税蔵置する場合は税関長に申請し「蔵入承認」を受けなければなりません。その場合の蔵置期間は、税関長による蔵入れ承認日から原則2年間です。特別な事情や理由があるときは税関長の承認を受けることでその期間を延長することもできます。

インランド・デポ(Inland Depot)とは

インランド・デポとは、港や空港から離れた内陸地域にある内陸保税蔵置場のことです。
主に内陸の県で、地域の国際化を発展させるために設置されます。

施設の近くに税関の派出事務所をおいてもらうことで、通関や保税実務をすることができるようになっています。

単なる保税施設でなく、通関機能も持つことが特徴です。

設置場所の要件としては、「保税蔵置場以外の場所にある施設その他の施設で、蔵置施設、蔵置する貨物の種類、地域の国際化・活性化に資する観点等を勘案して、税関長が認める場所」と定められています。

近くに税関の事務所をおいてもらうことから、設置するには官・民が協同で計画していくことが必要です。

インランド・デポを使うメリットとデメリット

メリット

・輸入した貨物を空港や港で通関せずにインランド・デポまで外貨輸送できるため、輸送コストが減る

なぜコストが低くなるかと言うと、輸入通関前の輸送や作業は免税対象になるからです。

港で通関をする場合:港で通関後、内陸の倉庫に運ぶまでの輸送に税金がかかる
インランド・デポで通関する場合:通関前の輸送は免税なので、インランド・デポまでの輸送は免税対象になる

図で表すとこうなります。


同じように内陸地に輸送するのであっても、通関をどこでするかによって、その輸送が課税か免税か変わってしまうのです。

どうせ同じ距離の輸送費を払わなければいけないのであれば、せめて税金分だけも安くなったらうれしいですよね。

・港湾エリアでは作業時間に制限があるが、倉庫業者の基準で作業可能

「今日、港に配達された貨物ですけど、急にAIR発送になったので空港に転送してくださーい!!」
「港が閉まったので、もう貨物は出せません。」

( ̄□||||!!)

なんて経験ありませんか?
港湾の倉庫って、16時頃に荷役終了してしまうんですよね。

インランド・デポでは、その倉庫会社の業務時間であれば対応してもらえます。
また、近ければ自分で引き取りに行くこともできるので、緊急の場合の対応がしやすくなります。

その他にもこのようなメリットがあります。
・輸出入品とも点検や仕分けなどの軽作業を免税状態ですることができる
(税関への手続きが必要)
・外国貨物のまま転売できる


デメリット

・長尺・重量物や他法令に関わる一部の商品には荷扱いできない制限がある
港湾の施設と比べるとやはり小規模になります。そのため、一部の商品が取り扱えないことがあります。


・出荷・配送エリアによっては重複輸送になることがある
最終配達先がインランド・デポより港寄りだと、その分が重複輸送になるため、もしかしたら輸送コストが上がるかもしれません。



それぞれの位置次第というところでしょう。

まとめ

内陸地にある会社だと、港や空港と距離があるため、港で発生したトラブルに対応しづらいことがあります。

そんな地域に便利なのがインランド・デポの存在です。

近くにあるようでしたら、問い合わせてみてはいかがでしょうか?