「輸入って、輸出者からもらったインボイスを乙仲に渡して、通関してもらえばいいんじゃないの?」と考えているあなた!
実はそれだけだと脱税になってしまう場合があるのです。
そんなことにならないよう、輸入申告すべき価格のことを知っておきましょう。
輸入申告する価格とは
輸入時に申告する価格は関税額が決定される際に必要になります。この関税額を決める際に使う価格を「課税価格」と呼びます。
「だから、申告する価格って、インボイス価格のことでしょ?」
いいえ、違います。
インボイス記載価格=課税価格ではない
インボイスに書かれているのは、輸入者に実際に支払う価格ですよね。専門用語では「現実支払い価格」と呼びます。
課税価格とは、この「現実支払い価格」に「加算要素」を加えた価格です。
それでは、加算要素とは何でしょうか?
加算要素
関税定率法の第4条第1項に記載されている項目で、輸入者が負担した費用です。この項目に何が当てはまるのかを考えるのかが難しいんですよね…。
法律なので、原文は小難しいので、ざっくりとイメージでご説明します。
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このように、それぞれの工程で、輸入者が費用負担をしていることがあります。
この費用負担をした要素が加算要素になります。
なんで加算が必要なの?
極端な例をあげます。100万円のダイヤモンドを中国に送って、化粧箱に包装するという作業をしてもらうとします。
インボイス価格は作業費込みで100円です。
輸入時にはその100円と記載されたインボイスを使うことになります。
では、輸入申告で「このダイヤモンドは100円です!」と言って通るのでしょうか?
もし、あなたが税関職員だったら
「ダイヤが100円なわけないだろ!過少申告だろ!」
と突っぱねませんか?
表現が難しいのですが、税関に申告しなければいけない価格とは
『商品本来の価値』
すなわち、
『商品が生産され、輸入されるまでに要したすべての金額』 です。
ですので、輸入者が輸出者側に無償で供給した材料や負担した諸経費は輸入申告時に、インボイス金額に加算して申告をする必要があるのです。
この加算して申告することを評価加算申告と呼びます。
・・・そんなの、加算しなくてもバレないんじゃない?
いいえ、バレます。
数年に1度、税関職員が輸入実績のある事業者を訪問する事後調査というものがあります。
この際、税関さんは該当期間の契約書、貿易関係書類や会計帳簿の書類をチェックし、輸入申告金額および納税額が適切であったのかを判断します。
このときに、加算漏れがあれば発見されます。
故意でなければ、過少申告加算税と延滞税を払うことになります。
悪質な場合では、重加算税などの重い追徴課税を支払うことになります。
金額が大きければ、脱税疑惑として新聞に載せられてしまうかもしれませんね。
まとめ
「無償供給するかは開発部門や生産部門が決めてるから、輸入部門じゃそんなのわからない!」という言い訳は税関には通じません。海外仕入先への無償供給品という言葉に敏感に反応して、申告漏れを防ぎましょう。