貿易業務に従事されているみなさん、食品届(正式名称:食品等輸入届出書)ってご存知ですか?
「食品?うちは食品商社じゃないから、関係ないよ」
と思われた方、ちょっと待ってください!本当に、関係ありませんか?
食品届は食品以外の輸入でも必要になることがあるのです。
今回はそんな食品届のお話です。
食品等輸入届出書とは
輸入時に必要になる書類の1つとして「食品等輸入届出書」があります。名前が長いので、通称「食品届」と言われています。
食品届は、食品衛生法第27条により定められている書類で、食品などを輸入する際に、輸入申告に先立って、検疫所に提出する書類です。
「え!検疫所とやり取りするの!?」と思われた方、大丈夫です。
輸入通関をお願いする乙仲さんに提出すれば、申告前に届け出をしてもらえるはずですので、ご自身で問い合わせることはないかと思います。
食品等輸入届出書の記載内容
食品届には下記情報を記載しなければいけません。
・食品の品名、数量、重量
・輸入者名住所
・生産国
・製造者名
・輸出者名
・積込港
加工品の場合は、製造方法や原材料および添加物の情報も詳しく必要になります。
食品等輸入届の審査基準
食品届は単に提出すればOKというものではなく、検疫所で書類に基づき審査がおこなわれます。
・食品衛生法で規定されている製造基準に適合しているか
・添加物の使用は適切か
・有害物質が含まれていないか
・過去に衛生上で問題のあった輸入者ではないか
このような基準で審査がおこなわれます。
書類審査で問題ないと判断されれば、食品等輸入届出済証が交付されて、無事輸入申告に進みます。
万一、不審な点があれば、検査が指示されます。輸入者は輸入したいものを検疫所指定の検査機関に分析を依頼して、検査成績書を提出しなければいけません。
その検査成績書をもとに、届出書の受理・不受理が決まるのです。
食品等輸入届出書の対象となるもの
ここが今回のポイントです。
冒頭で、食品以外にも食品届の提出が必要になるものがあると書きました。
食品届は「直接的もしくは間接的に口に触れる可能性があるもの」が対象となるとおぼえておいてください。
つまり、食品はもちろんのこと、食品を作る機械も対象です。
また、口に入れることになるフォークやスプーンなどの食器具や、食品に触れるであろう包丁やスライサーなどの調理器具も対象です。
それどころか、なんと、乳幼児用のおもちゃにも食品届が必要なのです。
もちろん、おもちゃは食べ物ではありません。
しかし、赤ちゃんがおもちゃをなめたり、口に入れてしまったりすることはよくあることですよね。そのため「口にはいる」可能性があるということで、食品届の提出が必要になります。
これは決して大げさなことではありません。
海外では、日本で禁止されている化学物質が塗布されたおもちゃが製造されていることがあります。そのような有害なおもちゃを赤ちゃんがなめたりしたら、大きな事故へと発展する可能性があります。
それを防ぐために、乳幼児用のおもちゃにも届け出が義務付けられているのです。
まとめ
2008年には中国から輸入された冷凍ギョーザに有害物質であるメタミドホスが含まれており、それを食べてしまった家族が食中毒になるという事件がありました。
このような事故を防ぐためにも、食品届は必要なのです。
輸入書類が増えてめんどくさいと思うのも当然でしょう。しかし、そのときは、この届があるからこそ、有害物質が自分の口に入らずに済んでいるということを思い出してくださいね。
参考:JETRO 「食品等輸入届出書の概要と提出先・提出方法等:日本」
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010154.html