中継ぎ貿易に便利!中国の物流園区ってなに?



中国では、物流と商流が一致しない取引は認めておらず、決済ができません。

物流と商流が一致しない取引にどんなものがあるの?と思われる方もいるかもしれませんが、このような取引を中継ぎ貿易と言います。

たとえば、このような取引です。

『中国の仕入れ先から日本企業が商品を輸入しました。しかし、実はその商品は中国企業からの注文だったので、納品するために中国へ輸出しました。』

…この場合って、いったん日本に輸入するよりも、中国国内で輸送してもらった方が楽じゃないですか??

でも!これは中国では認められていません。それが冒頭の一文です。
「中国では、物流と商流が一致しない取引は認めておらず、決済ができません」

物流と商流が一致しないってどーゆーこと?と思われるかもしれませんが、図で表すとこのようになります。



青が商流で、オレンジが物流です。矢印の流れが異なりますよね。
これが物流と商流が一致しないという状態です。

そんなこと言っても、この物流が一番楽ですよね。商流通りに輸出入すると費用も時間も余分にかかってしまいます。

これを解決してくれるのが物流園区なのです。


物流園区とは


保税物流園区は保税区内または保税区に隣接する特定港区内に設置されています。
スピーディな荷動きが求められる現在の国際物流に対応させるためにうまれた税関特殊監督管理区域です


物流園区のメリットは?


物流園区のメリットをまとめると下記のようになります。

・みなし輸出入が可能
・外貨決済が可能
・保税期間に制限がなく、長期間の保管が可能
・出荷する側の中国企業は、物流園区に貨物を入れた時点で増値税還付を受けることができる


みなし輸出・みなし輸入とは?


中国に事務所等をもたない日本企業が中国国内で生産された商品を日本企業名義で中国国内で保管や流通、売買をするためには、一旦、その商品を中国から輸入し、その商品の所有権を日本企業に移すことが必要でした。そうして、所有権を移してはじめて、中国企業に販売することができます。もちろん、そのときには中国への輸出が必要ですよね。

さらに言えば、中国生産者側も増地税還付を受けるには輸出することが必要でした。
どちらにとっても、輸出入が不可欠だったんですよね。

この不可欠だった取引を簡素化させたのが、物流園区です。

物流園区は保税地区であり、「中国国内」という扱いではなく、「外国」としてみなされます。

そのため、「外国」である物流園区に搬入することで、中国から輸出したとみなされ、所有者名義の変更が可能になります。

このように実際は中国にある地域なのに、輸出入をしたとみなすからみなし輸出みなし輸入と呼びます。


みなし輸出・みなし輸入のメリットは?


・実際に船や飛行機で運ぶことをせずに、内陸移動のみで済むため、輸送費用や貨物ダメージが最小限で済む
・物流園区は外国扱いのため、外貨決済が可能です。ドルや円で取引ができる
・中国に事務所を持たない企業でも、中国国内で商品を保税蔵置できる
・保税蔵置期間に制限がなく、長期間の保管が可能

また、完成した商品だけでなく、中国委託加工生産企業で製造された半完成品(一次加工品)をさらに別の中国内の委託加工生産企業に転売するときにも、物流園区を利用することで作業を簡素化させることができるのです。

みなし貿易という概念自体は前からあり、物流園区がないときには、香港がみなし輸出入の場所として使われていたそうです。


まとめ



中国国内で日本企業が物を動かしたいときは物流園区を使うことがおすすめです。特にデメリットはありません。

ただし、保税区の運用方法は立地によっても異なります。今後、制度も変わっていく可能性もあります。

仕組みとして物流園区を覚えておいて、実際に利用する際は現地の人に使えるかどうか確認するようにしましょう。