メーカーにお勤めで、中国にグループ工場があるよーという方もいらっしゃるかと思います。
その場合、日本から資材を発送して、中国の工場で組み立て&包装をしてもらって、その完成品を日本や海外へ輸出するというパターンが多いのではないでしょうか?
では、その中国の工場はどこにありますか?
きっと「輸出加工区」にあるのではないでしょうか?
え?「保税区」だよ?と思った方もいるかもしれません。
今回は「保税区」「輸出加工区」「物流園区」の違いについて紹介したいと思います。
保税区と輸出加工区と物流園区
いずれも税関が管理する特殊閉鎖区域で、下記の特徴があります。1. 区内にある企業で使う必要な物資・設備等を海外から輸入する場合、関税や輸入時に支払う税が課税されない。
2. 区内にある企業が輸出製品の加工に必要とする原材料、部品、包装材料等を保税で輸入できる。
3. 貨物を海外の間での出し入れを自由におこなうことができる。
4. 区内でおこなわれる課税役務に対して増地税が課税されない。
保税区とは
保税区は本来、保税機能のみを持つエリアで、保税貨物の売買・保管および生産・加工などさまざまなニーズに対応ができるようになっています。保税区では下記3パターンの企業設立が可能です。
1. 製造業型
保税区内に工場を設立し、保税区内で製造業を経営することができます。2. 倉庫業者型
保税区内を登記地として、倉庫を建てることができます。倉庫で仕分け作業をしたりと、商社型企業の補助的位置づけとなります。
3. 商社型
国際貿易や三国間貿易などの取引をおこなうタイプの会社です。3タイプに分けましたが、1~3の生産・保管・貿易まですべてを一貫しておこなう企業を設立することも可能です。
海外へ輸出するための税関申告時には退税単が発行されます。
これを申告することで増値税の還付を受けることが可能です。
ただし、保税区は外貨決算が不可となっています。
注意しましょう。
輸出加工区とは
輸出加工区では製品輸出のための加工貿易企業の設立が認められています。加工貿易以外の商業取引をすることはできませんし、加工区と無関係な業務も禁止です。
しかし、加工貿易をおこなう上では、保税区よりも適したエリアです。
保税区の場合、保税区域以外の中国国内から物を購入した場合、一般的な中国国内地区同様に増値税が課税されます。
もし、増値税還付を受けたいのであれば、どこかほかの国へ輸出することが必須です。
一方、輸出加工区では、中国国内から材料などを輸出加工区内に搬入した時点で輸出とみなされ、増値税の輸出還付を受けることが可能になります。
輸出加工区にある企業は、輸出することが絶対なので、区内に入れた時点で輸出とみなしてもOKということでしょう。
さらに、輸出加工区内の企業からの仕入れであれば、仕入れの時点で増値税がかからないようです。
また、輸出特化であるがゆえに、輸出加工区にある税関は24時間業務を実施しています。
手続きも簡素化されたものになっており、迅速な輸出を実現できているようです。
用途が制限されている分、保税区と比べて土地代が安く済むケースが多いようです。
加工貿易のための工場を建てるというのであれば、保税区ではなく輸出加工区に設置するのがベストです。
物流園区とは
保税物流園区は保税区内または保税区に隣接する特定港区内に設置されています。スピーディな荷動きが求められる現在の国際物流に対応させるためにうまれた税関特殊監督管理区域です。
いわゆる、みなし貿易に利用されることが多い区域です。
保税区と似ていますが、下記の点で異なります。
・生産や加工のための企業の設立は不可
・園区に商品を入れた時点で増値税が還付される
・外貨決済が可能
物流園区に関しては別の記事でも紹介していますので、こちらも合わせてどうぞ。
⇒中継ぎ貿易に便利!中国の物流園区ってなに?
まとめ
「輸出をするために保税蔵置したいけど、中国国内販売するかも知れない」⇒保税区
「加工貿易しかする予定はないし、土地代は安く済ませたい」
⇒輸出加工区
「みなし貿易をしたいんだけど、どうすればいいの?」
⇒物流園区
このような使い分けになります。
ただし、保税区の運用方法は立地によっても異なり、制度も変わっていく可能性もあります。
実際に利用する際は現地の人に使えるかどうか確認するようにしてくださいね。
この記事はJETROさんを参考にさせていただきました。
もっと詳しく知りたい方はJETROさんへどうぞ。
保税区と輸出加工区の優遇策:中国
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-A11130.html